記事01 / 2010 / バイオハザードIV アフターライフ
安息の地という約束。
ラジオから流れる声が、もう行き場のない人々に一つの目的地を告げる。かつて自分が助けた生存者たちは、無事にたどり着いただろうか。その希望を抱き、アリスは荒廃した世界を進む。ここではアルカディアへの旅を軸に、『アフターライフ』の物語を結末までたどる。
結末までのネタバレを含みます。

捨て去れない世界
アリスの探索は、この世界を生み出した組織への攻撃から始まる。複製されたアリスたちが東京にあるアンブレラの地下本部へ侵入し、その防衛を突破する。一方、アルバート・ウェスカーは脱出の準備を進めていた。施設を見捨てた彼は、上空から本部を破壊する。襲撃は炎の中で終わるが、離陸したウェスカーの機内には、本物のアリスがいた。
ようやくウェスカーに迫ったアリスを、彼は待ち構えていた。注射によって、彼女を圧倒的な敵にしていた能力が失われる。対決は機体の墜落で幕を閉じ、アリスは生き延びるものの、かつての力は戻らない。傷を負い、自分の判断を頼りにしなければならない一人の人間として、先へ進むしかない。残骸から無理に答えを引き出す力は、もうない。一つの都市でアンブレラを壊滅させても、世界全体が元に戻るわけではなかった。
港のない放送
数か月後、アリスはアルカディアの放送を頼りにアラスカを目指す。そのメッセージは、感染の及ばない避難場所があると告げていた。彼女が捜すのは、クレア・レッドフィールドとともに北へ向かった車列の仲間たちだ。しかし目的地に残されていたのは、放置された航空機だった。人々を迎える集落も、組織的な救助活動も見当たらない。ここに到着したはずの人々がどうなったのか、説明する者もいない。
クレアはそこにいた。だが彼女はアリスに襲いかかり、何が起きたのかを説明できない。胸に取り付けられた装置の影響で、混乱し、何者かに支配されていたのだ。アリスが装置を外すとクレアは回復し始めるが、記憶はまだ途切れたままだ。再会によってアリスには旅の仲間ができる。同時に、新たな疑問も生まれた。アルカディアが本当に安息の地なら、その約束はなぜ人々を無人の岸辺へ導いたのだろう。
ロサンゼルスを見下ろす屋上
二人は南へ飛び、ロサンゼルスの刑務所の屋上で暮らす小さな生存者集団を見つける。建物の周囲には、膨大な数のアンデッドが押し寄せていた。ルーサー・ウェストたちは高所にとどまることで生き延びてきたが、安全な空間は狭まる一方だ。屋上に着陸したアリスは、アルカディアとは沖合に見える船の名前だと知る。
刑務所の中で、クレアは兄のクリスと再会する。クリスはほかの生存者たちによって閉じ込められていた。兄妹の再会は、集団の中で誰を信じるかという判断を変えていく。クリスには脱出経路の心当たりがあり、アリスは海へ出る方法を探す。船は目で見えるほど近い。それでも屋上と海岸の間には、敵に満ちた都市が丸ごと横たわっている。
地下へ続く道
アンデッドが内部への道を見つけ、刑務所の防壁が破られる。巨大な処刑人が生存者たちの最後の防衛線に迫り、脱出は一刻を争うものになる。アリスとクレアは力を合わせて立ち向かう。そのころベネットは仲間を裏切り、アリスの航空機を奪って飛び去っていた。アルカディアへ向かう最も直接的な手段が、失われてしまう。
残された生存者たちは刑務所の地下トンネルへ降りる。その通路は身を守る場所ではなく、先へ進むための道にすぎない。逃走を可能にする暗がりは、襲撃者を隠す暗がりでもあった。途中で命を落とす者が出て、ルーサーも一行とはぐれる。アリス、クレア、クリスはようやく海岸にたどり着き、待ち受ける船へ小舟を出す。仲間は減り、あの放送が真実を語っていたという保証もないまま、三人は近づいていく。
誰も迎えない船
アルカディアは無傷に見える。だが開けた甲板には、生存者たちが想像していた、にぎやかな避難所の気配がない。三人を迎える人々もいなかった。船の機能が保たれているだけに、その不在はかえって不気味だ。静まり返った船内のどこかに、消えた人々がいるのではないか。沈黙はそう思わせる。
船を調べるうちに、クレアの記憶が戻り始める。アラスカで行われた「救助」は、人々を捕らえるための仕組みだった。アンブレラは安全を約束して生存者を集め、胸の装置で支配していたのだ。この航海の裏には、人から選択の自由を奪うシステムがある。アリスとレッドフィールド兄妹は、逃れたいと願っていた組織そのものに向かって海を渡ってきたのだった。
安全の名のもとに
行方不明の生存者たちは、甲板の下で仮死状態にされていた。その中には、かつての車列でアリスと行動をともにしたKマートもいる。彼女を見つけたことで、船の謎を解く探索は、目の前の人々を救う行動へと変わる。ここにいるのは、それぞれに過去があり、仲間のいる人間たちだ。彼らが人目につかない場所に収められている間も、放送は新たな人々を船へ誘い続けている。
捕らわれた人々を解放すれば、アルカディアには別の未来が生まれる。人々を隔てていた装置を開け、生存者を甲板へ戻すことはできる。しかしウェスカーは、まだ船内にいた。囚人たちの発見によって、アリスは東京の上空で対峙した男に再び近づく。無人だった船内の先には、彼との新たな対決が待っている。
ウェスカーの飢え
ウェスカーは自らの感染によって生き延びていた。しかし体内のウイルスは、安定した力の源ではない。彼は自分の状態を解決する鍵がアリスにあると考えている。ベネットもすでに船へたどり着き、その主に従っていた。海上の楽園の正体が明らかになる。他人の生存さえ、ウェスカーの欲求に奉仕させられる場所だったのだ。
アリス、クレア、クリスはウェスカーと戦い、Kマートの助けも受けて形勢を変える。だがウェスカーの驚異的な回復力のため、普通に倒すだけでは勝利を確信できない。彼は航空機で逃げ、船を爆破しようとする。ところがアリスは、彼の爆弾を、その脱出用の機体へ移していた。乗船者たちを殺すはずだった爆発を免れ、アルカディアは残る。
安息の地に差す新たな影
解放された人々が甲板に集まる。アリスは放送を引き継ぎ、生き残った世界へ新しい呼びかけを送る。ほんの短い間、アルカディアという名は、人々が信じたとおりの意味を持ちうる。そこにたどり着いた人々自身が支える、出会いの場所だ。別の場所ではルーサーも生き延びており、刑務所からの脱出をめぐる、もう一つの物語が続いている。
安堵は長く続かない。アンブレラの航空機が船に迫り、企業の支配下に置かれたジル・バレンタインがアリスの物語へ戻ってくる。最後の光景は、攻撃にさらされる避難所を映し出す。『リトリビューション』は、この同じ甲板から始まる。『アフターライフ』の結末に残された不安は、次の生存をかけた戦いへと変わっていく。